【政経現社特集】戦後日本の歴史と
政治経済の変遷まとめ
特集:戦後日本の歴史と政治経済の変遷まとめ(2013〜):消費税8%へ、集団的自衛権、中東情勢の悪化、イスラム国(ISIS)事件
【2014年4月・消費税が8%へ】
2012年発足した自民党・公明党の連立政権として発足した第二次安倍政権では金融政策を前面に押し出した「アベノミクス」と呼ばれる政策が当初は高い評価を受けていましたが、消費税が8%に増税された事で景気の先行きが不透明になり、先に予定された「10%」への増税は見送られた時代です。
【周辺諸国の動向】
外交問題では、2014年にはウクライナのクリミア半島をめぐってロシアとウクライナが衝突する事態になりました。また、お隣の韓国で「初の女性大統領」と期待された朴大統領が、この年の4月に起きた旅客船の沈没事故をめぐる対応で批判を浴び、支持率が低迷する事態になりました。日本と周辺各国をめぐっては、安倍首相と周辺各国とで歴史問題をめぐる認識の違いが大きく、隣国同士の緊張を強める結果になってしまいました。
【自衛隊や憲法9条のありかたが変わりつつある時代に】
中東のイラクやシリアでは、イスラム教スンニ派の勢力「イスラム国」が武力を背景にイラクやシリアの領土の一部分を支配する事態になりました。
そもそも中東においては、十字軍遠征以降のキリスト教とイスラム教の対立、そして第一次大戦のオスマン帝国崩壊後の欧米による国境策定をめぐって、欧米に対する反発が根強く、そして欧米がキリスト教圏であることから宗教対立の要素も入り込んで複雑な情勢が続いていました。そして、イスラム教の中の極端な勢力「イスラム国」が、既存の国境線をなくして新しい国をつくるという名目で、武力を背景に勢力を伸ばしました。
※「自民族中心主義」などを参照
そのような中で、安倍政権が2014年夏に集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を出しました。従来、「憲法9条」の解釈としては個別的自衛権のみを認めるとしたものが一般的でしたが、集団的自衛権を容認する事で、日米安保条約を結んでいるアメリカなどが参加している戦争に日本が関与できる余地が大きくなりました。これについては、「憲法9条」の条文からみて明らかに違和感を持つ意見も多くあります。
※2000年代(小泉政権)までの自衛隊をめぐる政府の見解などについては、平和主義と自衛隊のページをおさえておくこと。
【日本の安保政策の変更によるリスクが、早速課題として浮き彫りに】
そして、2015年1月に安倍首相が中東を歴訪し、イスラム教スンニ派の勢力「イスラム国」に対抗する諸国に金銭を支援することを約束した事で、「イスラム国」側は、日本が前年に集団的自衛権行使を容認したことをふまえて、日本の自衛隊が「イスラム国」を相手にしたアメリカ主導の軍に参画するのではないかという誤解をしてしまい、結果的に「イスラム国」に捕えられた日本人ジャーナリストら2名が、2015年1月に犠牲となってしまう事態になりました。
これまでは、「憲法9条」の下で、戦争には参加せずに、個別的自衛権のみを持つため、世界からは「他国を直接攻撃しない」比較的中立な国とみられてきました。また、日本はキリスト教の国でもイスラム教の国でもなく、信教の自由が保障された国という特徴もあるため、中東地域において十字軍遠征以降から続いてきた宗教対立についても、日本としては中立な立場をとることができたため、平和国家として、(賛否はありつつも)概ね尊敬され続けてきた経緯がありました。「対テロ戦争」の時代といわれた頃以降も同様でした。
しかし、この時代になって、集団的自衛権の行使が容認され、その上に、中東における紛争当事者の片方に支援を約束したことが「日本も欧米・キリスト教側の国として戦争に参加している」とみなされ、日本人の命が脅かされる事態になりました。2014〜2015年頃の日本の政策転換の結果、私達日本人に突きつけられた課題はあまりに大きなものでした。
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