家族・地域社会
【家族と福祉】
昔は、同じ屋根の下に祖父母なども暮らしていましたが、今では、「核家族」という、親と子で構成される家族が増えています。家族を構成する人数が少なくなり、さらに少子化も進んだため、家族の平均世帯員数が減ったことが最近の状況です。
・非婚化→結婚しない人が増えてきていること
・晩婚化→結婚する年齢が遅くなっていること
→その結果、生産年齢人口(労働力になり得る15〜64歳人口)や、合計特殊出生率(女性一人が一生涯で産む子どもの数)が低下していると言われている
拡大家族(大家族、複合家族)ともいう |
核家族 |
・複数の戸籍を持つ同居世帯。
・祖父母や父母などの親戚が集まっている家族
・「ちびまるこちゃん」一家が代表的な例。
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・夫婦、親子、きょうだいなどから構成される
・今の家庭はほとんどが核家族。
・「クレヨンしんちゃん」一家が代表的な例。
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・最近では、親の老後は子供が面倒をみるということが次第に困難になってきている
→核家族化の進行、都市化に伴って親と子の世帯が別々の地域に暮らしていることなど
→老人ホームなどの高齢者施設を利用することが多くなってきている
・今の法律では、婚姻は両性の本質的平等に基づいて行われ、個人と個人の結婚ととらえるべきだが、戦前までの古くからの「家制度」の価値観も今だ根強い(後述参照)。そしていわば「家系を継ぐ」ことを婚姻ととらえる視点も根強い。そのため、「跡継ぎ」を生めないということで、病気などの理由で子どもを生めない女性の心を傷つけているなどの問題も山積している。
・一方で、老人ホームなどの高齢者施設を利用できないなどのケースでは、高齢者の単独世帯が増え、一人暮らしの高齢者の介護をどうするべきか、という問題がある。老人が老人を介護する「老老介護」現象も生じてきている。
【家庭と女性の役割】
・「男は仕事、女は家事」という風潮から抜け出せきれていないも残っている。(30代から40代で女性の離職率が多くなっているグラフをよく目にする機会がある。)
・一方、「男女雇用機会均等法」施行以降、多くの女性が社会の様々な分野に出てきたと言われる。そこで、「男は仕事、女は家事」ではなく、男女が互いに家事を分担したり、男性でも育児休業を取得できるように推進したりすることが求められている。
【家制度と女性】
・日本では「家」制度が強く残り、法律上の「男性と女性の2名が結婚する」という考え方ではなく「女性が男性の家に嫁ぐ」という守旧的な考え方で婚姻についてとらえる風潮があり、婚姻を前提とするなら女性が性別を変えることが事実上求められてしまう社会となっている。
・しかし、女性は婚姻後に性別が変わってしまうと、独身時代に積み上げた仕事のキャリアや実績が一旦リセットされるのではないか、という問題があり、仕事上の便宜をはかるために旧姓の使用を認める会社も増えてきている。
・一方、子どもがおなかの中にいる女性や、産休明けの女性を退職に追い込むなどの人権侵害を行っている企業もあり、「マタニティー・ハラスメント」という社会問題になっている。
・今後は、会社などの民間レベルの「旧姓使用許可」などではなく、公的に夫婦別姓を認めるべきなのではないかという意見も根強い。
【地域社会とノーマライゼーション】
・老人ホームなどの高齢者施設を利用することが多くなってきているため、地域社会と高齢者とのつながりが薄くなってきている。また、高齢者施設を利用できないなどのケースで、高齢者の介護の悩みを家族だけで抱え込んでしまっていたりする。
→その要因としては、地域社会の希薄化が指摘されている。解決するためには、公的サービスを充実させることと同時に、地域全体で高齢者の生活を支援しつつ、高齢者がもつハンディキャップなどを考慮しても一緒に生活をすることがような地域社会づくり(ノーマライゼーション)が普通になることが必要とされている。
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