高校公民(現代社会・政治経済)の
中間テスト・期末テスト・センター試験対策の勉強法


生命倫理・バイオテクノロジーなど

 医療技術が発達してきて、生命工学(バイオテクノロジー)などが注目されるようになり、より良い治療が受けられるようになりました。しかしその一方で、個人の遺伝子の情報などが明確になり過ぎてしまうと、将来、生命保険料や就職、婚姻などの場面で、特定の遺伝子を持っていることを理由に差別を受けるケースも生じる可能性が指摘されていて、生命倫理が改めて考え直されるべき時期になってきています。

【ヒトゲノム】
・2003年に世界でヒトゲノムの解読が完了したことが大きな話題となった。この技術がさらに進歩し、DNAの塩基の配列を読み取ることができ、遺伝子から病気の可能性を判断できるようになれば、適切な薬を提供して遺伝による病気を治す技術が開ける一方、特定の遺伝子を持っていることを理由に差別を受けるケースも生じる可能性も否定できません。

【クローン技術】
・1997年にイギリスでクローン羊のドリーが生まれたことから注目された。
・2012年にはIPS細胞(体の全ての組織になる可能性のある、最初の段階の細胞)が注目された。日本人がIPS細胞の研究でノーベル賞を受賞したことで、将来的にIPS細胞をつかって自分の臓器を自分の細胞で作るという再生医療が可能になることが大きく期待されている。

 ただし、クローン人間の増産などに悪用される可能性のある技術なので、日本では、2000年にクローン技術規制法が作られ、倫理的な観点からクローン技術の使用が規制されています。
【出生前診断と倫理】
・出生前診断とは、子どもが生まれる前に、その子どもに病気や障害があるかどうか、などをあらかじめ調べる技術のことです。
→出生前診断には、障害を持った子どもや、自分が思っていたのとは違う性別の子どもを「産み分ける」、いわば、親や社会の都合だけで生命が選別され、本来生まれてくる子どもの生きる機会を胎児の時から奪ってしまう可能性があると言われています。

【脳死と臓器移植】

・一般的に、「人間の死」は、心臓停止、呼吸停止、瞳孔拡散の3つによって医師が判断していたのですが、新しい概念として、いわゆる「脳死」も人間の死として認めることになりました。内臓が動いていても、2度と脳の機能が回復する可能性が無くなった状態というだけで「死」とされることには賛否両論があります。
→そのため、臓器移植を前提とする場合でしか、脳死かどうかの判定は行わないとされています。1997年の臓器移植法で、臓器移植は、ドナーが「臓器提供意思表示カード」などを持っていてそこに臓器を提供する意思表示が明記されているということ、さらに臓器移植に家族が同意している場合だけ臓器移植を行って良いとされました。
→その後、法律が改正され、親の同意があれば、脳死の子供が臓器移植できるように法律が改正されました。しかし、意志表示が自分でできない子どもを脳死判定して臓器移植できるようにするということには異論も多くあります。

※何れにしても、脳死や臓器移植に関する法律は、極めて命にかかわる倫理的問題なので、国会では党議拘束を設けない、すなわちどの党であるかに関係なく、法律に賛成するか反対するか、各議員の自由な意思が保障されるように配慮されています。脳死や臓器移植に関する法律をめぐっては、同じ党でも意見が違ったり、違う党でも同じ意見だったりして、それでも脳死や臓器移植に関する法案の採決に関しては批判されることはありません。極めて特殊な内容だからこそ、国会の議決も普段とは違う雰囲気で行われる状況にあります。


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目次

はじめに

はじめに-高校公民(現代社会・政治経済)の勉強法
「現代社会」と「政治・経済」は重複して学習可能
センター試験「現代社会」と「倫理・政経」について
高卒認定試験の受験者の場合
現社や政経は楽しくなるし成績も無理なく伸ばせる
地歴公民の中では「理系寄り」の科目?
政治分野の基本は日本国憲法。ただし世界の政治の仕組みも
関心のある分野から知識を固め、得意を伸ばす
「歴史が得意で公民が苦手」な人も、違う視点から教科書を見れば、現代社会や政治経済の勉強にも馴染める
時事問題にも注目!教科書の中身と現実のニュースを関連付けてみよう。
政治経済や現代社会は日々変わるのに、なんで勉強する必要が?という疑問について

特集

政経現社特集:戦後日本の歴史と政治経済の変遷まとめ

政治分野

政治の基礎、国家の分類
市民革命・社会契約説・三権分立
法の支配・自由権と社会権
現在の世界の政治制度(米国・英国)
現在の世界の政治制度(独・仏、中国)
日本国憲法制定の歴史
日本国憲法における三つの基本原理
日本国憲法における平和主義
平和主義と自衛隊
日本国憲法の国民主権と立憲主義
基本的人権(1)法の下の平等と男女平等
基本的人権(2)自由権(精神の自由、経済的自由)
基本的人権(3)自由権(裁判を受ける権利、身体の自由)
基本的人権(4)社会権
基本的人権(5)参政権・請願権
基本的人権(6)新しい権利・幸福追求権
日本の国会のしくみ
衆議院の優越、特別な議決の方法、議員特権
内閣と議院内閣制
行政の仕組みと行政改革
司法と日本の裁判のしくみ
地方自治
選挙と政党
日本の政党政治の歴史
マスコミと民意
国際社会と国際法
国際連合
世界の人権保障
冷戦の歴史と核軍縮

経済分野

資本主義と社会主義と経済思想
経済思想と大きな政府・小さな政府
経済の三大主体-家計・企業・政府
需要と供給
価格決定・独占と寡占・市場の失敗
国民経済計算‐GNP・GDPなど
経済成長率・景気変動・インフレ、デフレ
金融政策
財政政策
財政と国債(日本の借金)
日本の高度成長
中小企業問題
公害・環境問題
環境・エネルギー問題、原発問題
農業・農政問題
消費者問題
労働問題
社会保障
自由貿易と保護貿易
国際収支と為替
IMF・GATT体制、地域統合、南北問題
日本の貿易自由化
EU(ヨーロッパ連合)、TPP

現代社会の分野

青年期(適応機制など)
生命倫理(バイオテクノロジーなど)
環境倫理
家族・地域社会
情報化社会の倫理
異文化理解と国際社会

参考サイト

中学生の社会科の勉強法(外部サイト)

自宅学習のために

インターネットで自宅学習
難関大学の受験対策なら Z会の通信教育

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