高校公民(現代社会・政治経済)の
中間テスト・期末テスト・センター試験対策の勉強法


国際収支と為替

【円高と円安】

・例えば、「1ドル=80円」と表示された場合、「1ドル」のお金を出せば、日本の「80円」と交換することができますし、逆に、「80円」を出せば、アメリカの「1ドル」と交換する事ができるという事になります。

→ここで、円の価値が安くなったとしましょう。これが「円安」です。一例として、これまで「1ドル」のお金を日本円に交換するに当たって、これまで「80円」必要だったのが、あるときを境に「100円」出さないと「1ドル」と交換できない、という状況になったとします。この場合、私たちは日本国内で日本の100円玉を使っているときは何も変化がありませんが、外国人から見れば、私達が何気なく使っている「100円玉」の価値が、アメリカドルで言えば「1ドル25セント」から「1ドル」に下落したことになります。そのため、私たちが日本の100円玉1枚でアメリカのものを買おうとしたとき、実質的には値上がりした状態でアメリカのものを買うことになります。逆に、アメリカ人にとっては日本のものを安く買えるようになるということです。

→逆に、円の価値が高くなったとしましょう。これが「円高」です。一例として、これまで「1ドル」のお金を日本円に交換するに当たって、これまで「80円」必要だったのが、あるときを境に「40円」出せば「1ドル」と交換できる、という状況になったとします。この場合、私たちは日本国内で日本の10円玉8枚(80円)を使っているときは何も変化がありませんが、外国人から見れば、私達が何気なく使っている「10円玉8枚」の価値が、アメリカドルで言えば「1ドル」から「2ドル」に上昇したことになります。そのため、私たちが日本の10円玉8枚でアメリカのものを買おうとしたとき、実質的には安くアメリカのものを買うことになります。逆に、アメリカ人にとっては日本の製品は高いと感じるようになります。

・これは貿易についても同じで、円安の場合、アメリカ人にとっては日本のものを安く買える、日本人にとってはアメリカのものを高く買うことになるわけですが、貿易の世界で言うと、アメリカ企業が日本で作られた会社の製品を安く買うことができるので、日本企業にとっては円安の方が輸出に有利になります。

・逆に、円高の場合、日本人にとってはアメリカのものを安く買えるので、海外ブランドが好きな人は海外の品物を安く輸入できるし、外国に依存している石油なども円高の時の方が安く調達できるという利点もありますが、アメリカ人にとっては日本のものは高くなるので、日本企業の品物は「高すぎる」とされ、日本企業の輸出が不利な状態に陥るという問題があります。

【日本と世界の為替制度】

・戦後は、金1オンス=35ドルの金・ドル本位制が国際的に採用されていて、かつ、日米間では1ドル=360円の固定為替相場制だった(ブレトン・ウッズ体制)。
・1960年代、アメリカは「双子の赤字」を抱える。このとき、日本や西ドイツの経済成長にともない、アメリカは「貿易赤字」となり、また、ベトナム戦争の長期化などで「財政赤字」も膨らんだため、「双子の赤字」と呼ばれた。
→このとき、大量のドルが世界に対して支払われ、世界中にドルが出回るようになり、ドルの価値が少しずつ下がっていった。そのため、投資家たちは、「金・ドル本位制」が維持できなくなるのではと考え、金・ドル本位制が維持されていりうちに、「ドル」を「金」と交換して、「金」として財産を所有することのほうが安心と考えるようになった。
→その後、アメリカのニクソン大統領は、テレビ演説で、「これ以上ドルの価値が下がるのを防ぐため、ドルと金の交換を停止する」ことを宣言。これがニクソンショック(1971年)である。

・1971年、スミソニアン協定。当初は固定為替相場制と金・ドル本位制の維持を想定し、ただしブレトン・ウッズ協定の当時よりは交換比率の修正が必要ということになった。
・固定為替相場制の維持のため、金とドルの交換比率の変更→「金1オンス=35ドル」から「金1オンス=38ドル」
・金・ドル本位制の維持のため、円とドルの交換比率の変更→「1ドル=360円」から「1ドル=308円」の円高ドル安の為替相場に変更。

※しかし1973年には、「スミソニアン協定」の体制も崩壊。1960年代に投資家たちが予想していたとおり、「金・ドル本位制」が維持できなくなる。日本では変動相場制の導入。これ以降、日本円と米ドルの交換レートを含め、為替は日々動き続けている。

・1976年→キングストン合意。SDR(特別引出権)が考案される。国際収支が赤字の国が、IMFを通じて、国際収支が黒字の国から外貨を提供することを求める。赤字国がIMFにSDRを要請すると、IMFは貿易黒字の国を指定し、その黒字国が赤字国に対して外貨提供を求めるということ。

【国際収支の分類】
※先ほどの「双子の赤字」の説明と照らし合わせて読むと理解しやすいと思います。




sponsored link


目次

はじめに

はじめに-高校公民(現代社会・政治経済)の勉強法
「現代社会」と「政治・経済」は重複して学習可能
センター試験「現代社会」と「倫理・政経」について
高卒認定試験の受験者の場合
現社や政経は楽しくなるし成績も無理なく伸ばせる
地歴公民の中では「理系寄り」の科目?
政治分野の基本は日本国憲法。ただし世界の政治の仕組みも
関心のある分野から知識を固め、得意を伸ばす
「歴史が得意で公民が苦手」な人も、違う視点から教科書を見れば、現代社会や政治経済の勉強にも馴染める
時事問題にも注目!教科書の中身と現実のニュースを関連付けてみよう。
政治経済や現代社会は日々変わるのに、なんで勉強する必要が?という疑問について

特集

政経現社特集:戦後日本の歴史と政治経済の変遷まとめ

政治分野

政治の基礎、国家の分類
市民革命・社会契約説・三権分立
法の支配・自由権と社会権
現在の世界の政治制度(米国・英国)
現在の世界の政治制度(独・仏、中国)
日本国憲法制定の歴史
日本国憲法における三つの基本原理
日本国憲法における平和主義
平和主義と自衛隊
日本国憲法の国民主権と立憲主義
基本的人権(1)法の下の平等と男女平等
基本的人権(2)自由権(精神の自由、経済的自由)
基本的人権(3)自由権(裁判を受ける権利、身体の自由)
基本的人権(4)社会権
基本的人権(5)参政権・請願権
基本的人権(6)新しい権利・幸福追求権
日本の国会のしくみ
衆議院の優越、特別な議決の方法、議員特権
内閣と議院内閣制
行政の仕組みと行政改革
司法と日本の裁判のしくみ
地方自治
選挙と政党
日本の政党政治の歴史
マスコミと民意
国際社会と国際法
国際連合
世界の人権保障
冷戦の歴史と核軍縮

経済分野

資本主義と社会主義と経済思想
経済思想と大きな政府・小さな政府
経済の三大主体-家計・企業・政府
需要と供給
価格決定・独占と寡占・市場の失敗
国民経済計算‐GNP・GDPなど
経済成長率・景気変動・インフレ、デフレ
金融政策
財政政策
財政と国債(日本の借金)
日本の高度成長
中小企業問題
公害・環境問題
環境・エネルギー問題、原発問題
農業・農政問題
消費者問題
労働問題
社会保障
自由貿易と保護貿易
国際収支と為替
IMF・GATT体制、地域統合、南北問題
日本の貿易自由化
EU(ヨーロッパ連合)、TPP

現代社会の分野

青年期(適応機制など)
生命倫理(バイオテクノロジーなど)
環境倫理
家族・地域社会
情報化社会の倫理
異文化理解と国際社会

参考サイト

中学生の社会科の勉強法(外部サイト)

自宅学習のために

インターネットで自宅学習
難関大学の受験対策なら Z会の通信教育

sponsored link





※当サイトの情報を参考にしたことにより何らかの損害等が発生した場合でも、当サイトでは責任は負うことができませんので、最終的な判断は閲覧者の皆様ご自身の責任でお願いします。

(c)高校公民(現代社会・政治経済)の中間テスト・期末テスト・センター試験対策の勉強法

inserted by FC2 system