高校公民(現代社会・政治経済)の
中間テスト・期末テスト・センター試験対策の勉強法
環境・エネルギー問題、原発問題
環境問題について、前のページでは公害や都市化と環境問題との関係、そして「持続可能な開発」のように国境を超えた環境問題についてまとめましたが、このページでは、環境問題と切り離せないエネルギー問題、特に石油や原子力発電などの問題について考えます。
【産業革命とエネルギー】
産業革命以後の工業の発展は,さまざまな工業原料やエネルギー資源の消費量の増加をもたらしたのですが、戦前や戦後しばらくの間は石炭の消費、そして高度成長期には石油消費量が増えてきました。しかし、石炭は国内で産出可能であっても、石油は日本国内では算出できません。「エネルギー革命」によって世界的に石炭から石油に消費量をシフトすると、日本も石油を使用する社会に変化していき、それにともなってエネルギーを海外に依存する割合も増えてきました。
そもそも、国内資源に乏しい日本では、石油や天然ガスなど、工業化に必要な資源を海外に依存してきました。そのため、特定の国から資源の輸入を行っていることが多く、貿易相手の国の政治情勢に大きな影響を受けやすい状況にありました。
1973年の中東戦争の際に、石油輸出国機構は原油価格を1バーレルあたり約3ドルから12ドル、実に4倍の価格に引き上げました。さらに、1974年の国連資源特別総会では、発展途上国が中心となって、NIEO(新国際経済秩序)が採択され、石油などの天然資源はその資源が採れる国が販売や価格決定の権限をもつということになりました。このため、原油価格は日本の政治だけではうまくコントロールできない難題で、それは世界にとっても同じことであることから、中東などの国々で紛争が起きたりすると、原油価格の高騰から世界経済に大きな影響が起きています。その後、日本でも省エネの必要性が叫ばれ、「サンシャイン計画」などのように、エネルギーを大量に使わなくてもよい社会を目標にしていきました。
また、原子力発電の推進も、石油に頼らないエネルギーを使おうという発想からでした。原発によって作られた電気は、2010年までは日本の電力の3分の1を占めるほどになりました。そして、その分だけ火力発電に使う石油などの資源を使う量が少なく済んだのも事実です。しかしその動きも、2011年になってさらに大きな課題を背負うことになりました。
【東日本大震災と原発事故】
2011年の、東日本大震災と福島第一原発事故の影響で、原発から出される放射性物質による汚染が問題視されるようになりました。先に述べたように、震災前は石油に頼らないエネルギー源ということで原子力発電が推進され、日本の電気の3分の1が原発で作られていたのですが、この災害と原発事故を契機に、原子力発電がストップし、電力供給の量が不足するのではないかという話が持ち出されるようになりました。震災直後は「計画停電」などの動きもありましたが、それ以降、計画停電の様なことは起きなくても、「節電」の必要性を認識する人が増えました。LED照明などの普及が促進されたのもこの時期です。また、それとともに、原子力発電を見直す動きも出ています。
今のところは、原子力発電に代わるエネルギーとして、太陽光発電・風力発電・地熱発電などの「再生可能エネルギー」が注目されています。震災・原発事故の当時の菅直人首相は、「再生可能エネルギー法」を制定し、固定価格買取制度(再生可能エネルギーで作った電気を一定の価格で電力会社に全量買取させる制度)をスタートさせました。
今後の課題は、原子力を使わなくなった分は、太陽光発電などでカバーできない部分も多く、やはり火力発電に頼ることになり、そうなると発電に使う燃料代が世界の原油価格の動向に左右される、日本が1970年代に直面した課題に再び向き合う必要性が生じたということです。最終的には、火力や原子力を太陽光発電・風力発電・地熱発電などの「再生可能エネルギー」に置き換えることがすべて可能になる時代が来ればよいのですが、それまでには時間がかかりそうなので、日本がかかえるエネルギー問題については、当面は難題を解決できない時代がつづくものと思います。
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