価格決定・独占と寡占・市場の失敗
【管理価格】
前のページのメカニズムでは「市場価格」が決定されるが、実際には、市場で価格が決まらず、人為的に価格を管理していることがある。これを「管理価格」とよぶ。
・寡占価格(または独占価格)→特に、少数の大企業が特定の商品のマーケットを支配しているような状況(寡占)や、一つの巨大企業が特定の商品を一社のみで生産している場合(独占)では、価格競争が行われず高い価格を維持されている。なお、価格を決めるのに強い影響を与えている大企業を「プライスリーダー」と呼び、プライスリーダーが実質的に価格決定への影響が強い企業の場合「プライスリーダー価格」とよばれる。
・公共料金→公共性が高くて国民生活に与える影響の大きいもの(電気、ガス、水道、鉄道など)は、政府の認可で「公共料金」が定められている。統制価格と呼ぶ場合もある。
【カルテル・トラスト・コンツェルン】
独占形態によって企業の集中と独占・寡占が進んでいます。
独占がなぜ起きるかといえば、自由な競争の結果、吸収合併が進み特定の大きな企業の資本規模が拡大する「資本の集中」が起きるためということです。そして、なぜ資本の集中が起きるかといえば、利益を得るために、大規模企業だからこそ可能な効率化、大量生産などのコストダウン手法によって「規模の利益」(スケールメリット)を求める事が収益の拡大につながるからであり、スケールメリットをもとめるために、追加投資によって会社をより大きくしていく「資本の集積」が起きるからです。
なお、その独占形態には3種類があると考えてください。なお、カルテルは「協定」、トラストは「企業結合」、コンツェルンは「財閥」という形で覚えるとよいと思います。
カルテル |
トラスト |
コンツェルン |
同じ商品のマーケットの企業が、相互に利益協定を結んで市場を独占する。公共事業におけるカルテルは「談合」とよばれ、ルール違反である。 |
同じ商品のマーケットの企業が合同し、競争をやめ独占価格によって利益をえようとする。持ち株会社を設立し、同じ種類の企業を持ち株会社の下に入れることで、事実上、一体の企業として市場を支配する。 |
それぞれ独立した企業の株式を親会社が持ち、実質的に支配する。戦前の財閥や、最近の「ホールディングス」と呼ばれる会社の事を指す。複数の企業の系列化が目的。 |
※「コングロマリット」・・・仕事内容に関連のある会社と合併せず、直接の関係を持たない、多くの分野の業種・業務の企業を合併し、それらの市場に参入している企業の形の事。上記3つの独占形態とは違う企業の形。
※きびしい価格競争は、しばしば不正を生み出すこともあり、また、技術革新などが限界に来ている場合は価格の値下げがこれ以上無理という場合もある。そのため、宣伝など、価格以外の競争が主体となる傾向もあり、価格競争だけが企業の競争だというわけではなくなってきている。これを「非価格競争」という。
【外部経済と外部不経済】
・外部不経済とは、市場機構の外で、企業の経済活動の弊害が表れている現象である。公害問題などが挙げられる。
→外部不経済による損失は市場機構の外で起きている事なので、例えば公害解消のためのコストは第三者が支払っている(政府支出による環境対策の費用や公害被害者が負担している医療費など)。これを社会的費用という。社会的費用を企業が「環境税」などの形で支払う事にすれば、企業は自ずと公害対策に取り組む事になるだろう。こうして外部不経済問題を解決させるのが「外部不経済の内部化」である。
・外部経済とは、市場機構の外で、企業の経済活動のメリットを享受できる部分があるという現象である。
→たとえば、商業施設がつくられ、人口が増えて交通機関が整備されると、その地域に前から住んでいた住民は、たとえその商業施設を利用しなくても、便利になった交通機関のメリットを享受できる。
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