司法と日本の裁判のしくみ
司法は、裁判所がもつ権力のことです。現在、日本では最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所のほか、家庭裁判所、簡易裁判所というものがあります。明治憲法の時代には、「特別裁判所」といって、内閣には行政裁判所、軍隊には軍法会議、天皇家には皇室裁判所が設置されていましたが、公正な裁判が期待できないなどの課題もあったため、戦後になってこれらはすべて廃止されました。
最高裁判所 |
全国に1ヶ所、東京都に設置。違憲立法審査権もある。 |
高等裁判所 |
全国に8ヵ所(東京都、大阪市、名古屋市、広島市、福岡市、仙台市、札幌市、高松市)。 |
地方裁判所 |
各都府県に1ヵ所ずつと北海道に4ヵ所。ほとんどの裁判の第一審を行う場所だが、簡易裁判所の判決に対する第二審を行うこともある。 |
家庭裁判所 |
家庭に関する審判、少年審判のための裁判所。各都府県に1ヵ所ずつと北海道に4ヵ所。 |
簡易裁判所 |
全国の主要・中小都市を中心に438ヵ所。訴訟価額が140万円以下の請求。(2004年以前は90万円以下とされていた。古い参考書だと「90万円以下」と書かれているものもあるので注意してください。) |
3回まで裁判を受けられる仕組みを「三審制」といいます。この仕組みは、裁判を慎重に行うことで、間違った判決が出にくいようにするものです。
【裁判にかかわる用語】
控訴・・・第一審の判決に不服があるときに第二審の裁判所に訴えること
上告・・・第二審の判決に不服があるのため、さらに上級の裁判所に訴えること
飛躍上告・・・裁判官の判断で、重要事件では地方裁判所の次に高等裁判所を飛び越えて最高裁判所に上告するということ
再審・・・判決が確定した後、誤りの可能性がある場合に行われるやり直しの裁判
刑事・・・犯罪を犯した人が裁かれるために、有罪・無罪を決める裁判
民事・・・犯罪に関するものではなく、対立する人や組織の間の争いごとについての裁判
※裁かれるべき法律は、基本的に、法律によって定められていなければならない。これを「罪刑法定主義」という。刑事裁判においては、「疑わしきは罰せず」が原則となっています。
※行政裁判・・・行政上の措置に不服の場合は、民事裁判に準じて裁判がおこなわれます(ただし民事訴訟法ではなく行政事件訴訟法のしくみを使って裁判を進行していきます)。
※裁判員制度・・・原則として、裁判官3人、裁判員6人で、重大な犯罪を犯したと疑われる被疑者の量刑を決める制度。裁判員6人は、選挙権を持っている人たちの中からくじで無作為に選ばれる(つまり、選挙に投票する事ができる20歳以上の大人なら、誰もが裁判員に選ばれる可能性があるということ。)
【違憲立法審査権】
裁判所が、国会の法律などについて、憲法に違反していないかを監視するために持っている権限。この権限に基づいて、最高裁判所が違憲判決を出している。最高裁判所が「憲法の番人」と呼ばれる理由は、国会で作られた法律が憲法に照らして有効か無効かを判断し、法律を無効とすることもできる機関だからである。司法権が立法権に介入するという意味では、違憲立法審査権は三権分立の例外とも考えられる制度です。
ただし、実際に法律を違憲とした例はきわめて少ない。三権分立の考えの原則に立つなら、立法権に過剰に司法権が介入することを避けるべきとの考えもあるためです。
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