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行政の仕組みと行政改革
行政は、法律や予算に基づいて政治を行うしくみのことです。行政機関として代表的なものとして、東京の霞ヶ関には、文部科学省や法務省のように、国の仕事を行う専門の機関があります。そして、行政の最高決定機関は、内閣だとされています。内閣総理大臣と、各省庁の担当大臣、そして省庁に属さない担当大臣(内閣府の特命担当大臣)によって構成されていて、これらの大臣の半分以上は国会議員によって構成されていなければなりません。
【行政権の肥大】国の仕事が増えるのに伴い、各省庁の権限が大きくなり、実質的に官僚がこの国を動かしてしまっている現状がある。官僚主導の政治は、国民の選挙や世論を反映しない結果、独断専行だったり、弱い立場の国民を傷つけても無関心だったりすることも指摘されている上、業務に関連している会社の許認可権が行政の側にあれば、官僚が会社に対して許認可を与える見返りに、退職後に関連会社の重役等のポストを獲得する「天下り」傾向も指摘されている。
こうした弊害から、官僚主導から政治主導に政治を転換させようと主張して国民の支持を集めて、2009年に当時の鳩山由紀夫代表率いる民主党が政権を獲得しました。国民から選ばれた政治家の方が、官僚よりはましな判断ができるだろうということで、政治主導という言葉が行政改革のキーワードになりました。これによって「事業仕分け」などの政策が採用されました。この事業仕分けの際、あるときには、官僚が国民の幸福を度外視して、ある分野で「一番」になることばかりにこだわっていたのに対して、政治家が「二番ではダメなんですか」と反論し、これが名言として流行語にもなりました。それでも、政治家の判断がすべて正しいというわけでもなく、この政策も後には批判されるようになっていきました。
【1980〜90年代までの行政改革】
さきほどは2009年以降の行革の様子について述べましたが、それより前から、自民党が安定して政権を取り続けていた当時から、行政改革の取り組みもありました。中曽根内閣のときには、国鉄、電電公社、専売公社という「三公社」の民営化が行われました。
しかし、官僚による許認可や行政指導などの中には不透明なやりかたで民間の企業に規制をしていたりして、官僚の好き嫌いのようなもので民間企業が官僚の介入を受けていた部分への反省から、1993年に「行政手続法」を制定し、官僚による許認可や行政指導がインフォーマルなものではなく公式的に法律の制度として制度化されることで、許認可や行政指導のおかしな部分があっても、民間側がすぐにそのことを指摘して修正を求めやすくなるしくみを導入しました。
また、政治家が自分の考えを持たないかわりに官僚任せの政治運営を行っていた背景には、国会答弁で大臣ではなく「政府委員」とよばれる官僚が答弁できる仕組みがあったということがあるので、1999年には「政府委員」の制度を廃止し、官僚任せではなく国民が選んだ政治家が大臣としてリーダーシップを図ることで官僚の行き過ぎた権限の拡大をおさえようと意図した改革が行われました。
【オンブズマン制度】
オンブズマン制度とは、民間人から採用されたオンブズマンが行政機関を調査し、官僚の恣意的な行政運営や、官僚が国民の権利を侵害している事実などを公表することで、国民の視点を行政に反映させようとする制度のことです。
【行政委員会】
政治的中立が必要となる中身について、一般の行政機関でも無く、政治家の影響を受ける内閣でもなく、独立した合議制の特別な行政機関が置かれるが、それを「行政委員会」という。たとえば公務員の給与を決める「人事院」は行政委員会の一種である。
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