日本国憲法第41条では、国会の地位は「国権の最高機関」であり「唯一の立法機関」とされている。前にも説明したように、日本では議院内閣制が採用されている点が特徴的。なお、日本の国会は議院内閣制という意味ではイギリス的な制度であるが、国会の中に常任委員会がある「常任委員会制度」や、裁判所が国会の定めた法律について審査する「違憲立法審査権」などは、むしろアメリカの制度に近いと考えてよいと思います。
【国会の仕事】
1、法律の制定
→法律案を実際に作っているのは、内閣(「政府立法」)か国会議員(「議員立法」)だが、多数決を以て制定するのは国会の役目である。
2、予算の議決
→首相を中心とする「内閣」が予算案をつくる。衆議院に先議権がある(参議院から先に議論することはできない)
3、内閣総理大臣の指名
→国会議員の中から内閣総理大臣を指名し、天皇が正式に任命する。衆参で分かれた場合、両院協議会の協議を経て、意見がまとまらない場合は衆議院の議決を優先する。予算の議決と同様に衆議院の優越の典型例。例えば2007年、衆議院が福田康夫さん、参議院が小沢一郎さんを指名したとき、結局は福田さんが首相になった。
4、内閣不信任決議
→内閣総理大臣・各大臣を辞めさせる事ができる権利。衆議院のみが「内閣不信任決議」を出すことが可能なのでこれも衆議院の優越の典型例。似たようなもので参議院の行う「問責決議」というものがあるが、これには法的拘束力はない。
5、条約の承認
→内閣が外国と結んできた条約に許可を出すのは国会の役目。
6、弾劾裁判所の設置
→司法権を持つ裁判所の裁判官を辞めさせる裁判を行うのは国会。三権分立の例外的な権力としても知られる。衆参各10名の訴追委員が訴えを起こし、衆参各7名の裁判員が裁判を行うしくみ。
7、憲法改正の発議
→総議員の3分の2以上の賛成で国会が憲法改正案を提案し、国民投票での過半数の賛成により可決。
8、国政調査権
→政治全般に対する調査を行う。重要な政治的関心事が起きた場合、関連している人物に対して「証人喚問」を行い、関係者を呼び出すことができる。
【衆議院と参議院の違い】
※衆議院定数は2013年の「0増5減」により定数が480人から475人に改正された。「0増5減」とは何を増やして何を減らすという意味なのか、そして、なぜ「0増5減」の必要性があったのか、時事問題としては最重要の問題ですので調べておきましょう。
※参議院は「理の代表」と呼ばれているのは、解散がなく任期が長いかわりに被選挙権が衆議院よりも高い年齢(30歳以上)となっている点が理由である。逆に、衆議院は解散があり任期も短い、さらに被選挙権も若く25歳以上なら若者も衆議院議員に立候補できるなどの理由があり、民意をより的確に反映させやすいと言われている。衆議院の優越(次のページで説明)が設けられている根拠はこの点に求められている。
※定足数は、各々その総議員の三分の一とされ、これ以下の議員しか出席しなかった場合は国会が開けない。
※2016年に、選挙権年齢が従来の「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられた事にも注目。
衆議院 |
参議院 |
通称「数の代表」 |
通称「理の代表」 |
議員定数475人 |
議員定数242人 |
選挙権は18歳から(従来は20歳からだったが、2016年に選挙権年齢が引き下げられた)
被選挙権は25歳から |
選挙権は18歳から(従来は20歳からだったが、2016年に選挙権年齢が引き下げられた)
被選挙権は30歳から |
任期は4年、解散あり |
任期は6年、解散なし |
小選挙区比例代表並立制
(小選挙区制と比例代表制をあわせた) |
選挙区比例代表並立制
(1〜5人を選ぶ選挙区制と比例制をあわせた) |
比例は重複立候補あり。
小選挙区で惜しい負けの人から復活当選。名簿順位が同一なら、
惜敗率という計算方法で復活する人を決める。 |
比例は重複立候補なし。復活当選なし。
ただし個人名が政党の票とカウントされる。
なお、参議院は3年ごとに半分ずつ改選される。
|