高校公民(現代社会・政治経済)の
中間テスト・期末テスト・センター試験対策の勉強法


日本国憲法における基本的人権(6)新しい権利・幸福追求権

 最近では、「新しい権利」も認められようとしています。新しい権利ということは、今の日本国憲法には明文化されていない権利という事になりますが、憲法13条の「幸福追求権」や25条の「生存権」のひとつとして保障すべきという意見があるために提唱されています。新しい権利と幸福追求権はセットで覚えておきましょう。

※「幸福追求権」=第13条「すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。」

【プライバシーの権利】「私生活をみだりに公開されない権利」。興味本位な私生活の公開を事前に差し止めたり、損害賠償を請求することができる。従来なら私生活を公開されない権利というだけだったが、近年は、個人に関する様々な情報が管理されやすくなり、本人の知らないうちに利用される可能性が高まったため、自分に関する情報がどのように利用されるのかという点をコントロールする権利の要素も加えられるべきと考えられるようになった。

【知る権利】憲法第21条の表現の自由は一般的には「表現する側」の権利として理解されるが、今度は、表現されたものを受けとる側からとらえた権利としての「知る権利」が重要になって来ている。マスコミの活動の自由が「表現する側」の権利なら、主権者としての国民が情報を知って何らかの意見表明をしたり投票行動に反映させたりするために情報を知る「表現されたものを受け取る側」の権利である。この両方の権利が確立されてこそ、「知る権利」が実質的に機能する。具体的には、たとえば、学校におけるいじめの隠蔽問題などが発覚したときに、遺族の側の「知る権利」が保障されるべき理由について考えてみると、「知る権利」の重要性も理解しやすいと思います。

【アクセス権】情報の受け手である一般市民が、マスメディアに対して意見広告や反論記事の無料掲載などを要求することによって、マスメディアにアクセスして意見を表明する権利。憲法第21条の表現の自由を根拠に主張されている。ただし、この権利を具現化するなら、何らかの意見に対する市民側からの反論をマスコミが掲載しなければならない旨の特別な法律の制定が必要になる。しかし、その法制度を実現した場合、公権力による報道機関の表現の自由との整合性が問題になる。

【環境権】公害に対する損害賠償とともに、公害を事前に予防する差し止め請求権に拡大する動きが高まった。こうした流れの中で、「良い環境を享受する権利」として、環境権が主張された。いわゆる「迷惑施設」の立地(産廃処分場や原発など)によって居住環境が悪くなる可能性とか、大規模なマンション建設等における「日照権」の侵害などの可能性などで議論になる。特に2011年に起きた福島第一原発事故では、住み慣れた土地を追われた人々が受けた損害は計り知れない現状を受け、環境権の大切さがあらためて再認識されてきている。なお、国会で制定された環境アセスメント法では「どのような環境までが保護されるべきか」という点が明確になった。

【平和的生存権】戦争や恐怖から解放され、平和に生存する権利。国際的な人権保障という意味で関心も高い。アメリカのローズベルト大統領の「4つの自由」がこの権利を主張する意見に強い影響を与えた。特に日本では、「戦争と平和」という観点から、自衛隊に関する訴訟において、1960年代から主張されてきた。基地付近の住民が基地の撤廃を裁判所に求める行政訴訟を提起する際、行政事件訴訟法の訴訟要件(裁判が成り立つための条件)として「処分性」や「訴えの利益」などの存在が主張されなければならないが、そのうち「訴えの利益」があるのだということを主張するため「平和的生存権」の考え方が用いられた。しかし、「平和的生存権」の主張は、裁判で争うことのできる具体的な権利性に欠けるとの見解が一般的である。


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目次

はじめに

はじめに-高校公民(現代社会・政治経済)の勉強法
「現代社会」と「政治・経済」は重複して学習可能
センター試験「現代社会」と「倫理・政経」について
高卒認定試験の受験者の場合
現社や政経は楽しくなるし成績も無理なく伸ばせる
地歴公民の中では「理系寄り」の科目?
政治分野の基本は日本国憲法。ただし世界の政治の仕組みも
関心のある分野から知識を固め、得意を伸ばす
「歴史が得意で公民が苦手」な人も、違う視点から教科書を見れば、現代社会や政治経済の勉強にも馴染める
時事問題にも注目!教科書の中身と現実のニュースを関連付けてみよう。
政治経済や現代社会は日々変わるのに、なんで勉強する必要が?という疑問について

特集

政経現社特集:戦後日本の歴史と政治経済の変遷まとめ

政治分野

政治の基礎、国家の分類
市民革命・社会契約説・三権分立
法の支配・自由権と社会権
現在の世界の政治制度(米国・英国)
現在の世界の政治制度(独・仏、中国)
日本国憲法制定の歴史
日本国憲法における三つの基本原理
日本国憲法における平和主義
平和主義と自衛隊
日本国憲法の国民主権と立憲主義
基本的人権(1)法の下の平等と男女平等
基本的人権(2)自由権(精神の自由、経済的自由)
基本的人権(3)自由権(裁判を受ける権利、身体の自由)
基本的人権(4)社会権
基本的人権(5)参政権・請願権
基本的人権(6)新しい権利・幸福追求権
日本の国会のしくみ
衆議院の優越、特別な議決の方法、議員特権
内閣と議院内閣制
行政の仕組みと行政改革
司法と日本の裁判のしくみ
地方自治
選挙と政党
日本の政党政治の歴史
マスコミと民意
国際社会と国際法
国際連合
世界の人権保障
冷戦の歴史と核軍縮

経済分野

資本主義と社会主義と経済思想
経済思想と大きな政府・小さな政府
経済の三大主体-家計・企業・政府
需要と供給
価格決定・独占と寡占・市場の失敗
国民経済計算‐GNP・GDPなど
経済成長率・景気変動・インフレ、デフレ
金融政策
財政政策
財政と国債(日本の借金)
日本の高度成長
中小企業問題
公害・環境問題
環境・エネルギー問題、原発問題
農業・農政問題
消費者問題
労働問題
社会保障
自由貿易と保護貿易
国際収支と為替
IMF・GATT体制、地域統合、南北問題
日本の貿易自由化
EU(ヨーロッパ連合)、TPP

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青年期(適応機制など)
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参考サイト

中学生の社会科の勉強法(外部サイト)

自宅学習のために

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