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日本国憲法における基本的人権(4)社会権
前にも説明したように、社会権は「国家による自由」を保障するための権利なので、「国家からの自由」を規定した自由権とは異なっています。20世紀における福祉国家の理念に立つものです。資本主義の発達によって社会的弱者の階級も出てきてしまったため、その人たちの人権を国家が救うために確立された権利とも考えることができます。
【第25条】1、すべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2、国は,すべての生活部面について,社会福祉,社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
・プログラム規定説
憲法に人権や権利として明確に記載されているものは、実は努力目標であって、目標が達成できていないからといって直ちに憲法違反だというわけではない、という考え方。生活保護の給付の水準が憲法の25条に適合するのか争われた「朝日訴訟」の判決などでこの考え方が示された。
※社会権を保証する手段としての社会保障については「社会保障」のページで詳細に解説します。
【教育をうける権利】
第26条 1、すべて国民は,法律の定めるところにより,その能力に応じて,ひとしく教育を受ける権利を有する。
2、すべて国民は,法律の定めるところにより,その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は,これを無償とする。
教育を受ける権利も社会権の一つ。かつて、学校に行って勉強することができないままに小さい時から労働に従事し、苦しい生活を強いられた人がいる一方、富裕層の子どもはだけが教育を受けることができる時代があった。生まれた家庭の経済格差が教育の格差、そして将来の就職の格差にもつながる現状があった。それでは不平等なので、経済的に困窮している家庭の子どもでも教育を受ける権利は保障されるべきとの考えから、憲法では「教育をうける権利」が確立されている。
なお、憲法26条の条文を見れば分かるように、26条第2項では「教育を受けさせる義務」を保護者に対して課しています。子どもに対しては「教育を受ける義務」が課されているのではなく、第1項のように「教育を受けることができる権利」を持っているということです。
また、「教育を受けさせる義務」を保護者に対して課しているのは義務教育だけだが、本人が「教育を受けることができる」権利は、義務教育の年齢だけでなく、高校生や大学生の教育、そして、社会人になってからの生涯学習や就労のための教育などにおいても権利として保障されています。
【教育を受ける権利が問題になった事例】
高校受験において、生徒が持っている思想・考え方が内申書に記載されていたため、学力が足りていても思想を理由に高校入試で不合格とされた、いわゆる「内申書裁判」が有名です。当時の原告だった生徒が後に、著名な政治家になったことでも知られています。
現在でも、多くの中学生が「教員に気に入られないと内申書で不利になって志望校に行けなくなる」と思って、いじめの被害者が、被害を受けている事について相談できなかったり、傍観者が学校の教員と共謀して学級の中で起きたいじめを隠すことに加担するケースもあるが、内申書の存在によって「教育を受ける権利が制限されている」という問題は今でも解決されていないことの現れともいえます。
【労働基本権】
※労働基本権も社会権の一部だが、これについては「労働問題」のページで詳細に解説します。
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