高校公民(現代社会・政治経済)の
中間テスト・期末テスト・センター試験対策の勉強法


日本国憲法における基本的人権(2)自由権(精神の自由、経済的自由)

 日本国憲法において、基本的人権は条文の中の比較的早いほう(10条台〜20条台)に記載されています。その中で、自由権についても多く規定されています。 (1)精神の自由

 思想および良心の自由(19条)、信教の自由(20条)、集会・結社・表現の自由など(21条)、学問の自由(23条)が精神の自由に関連した規定ですが、ここではその中から特に重要な問題について少し取り上げていきます。

【政教分離の原則】
第20条の規定が焦点になった裁判。津地鎮祭訴訟は「合憲」とされ、愛媛玉ぐし料訴訟は「違憲」とされた。判断が分かれた基準は、「目的効果基準」とよばれる基準です。

※目的効果基準・・・宗教との関わりが相当とされる限度を超える目的や効果がある場合、このことは許されないという基準。津地鎮祭訴訟では「慣習的行為」として合憲とされ、愛媛玉ぐし料訴訟では「宗教的行為」として違憲とされた。
※特に20条3項の「国及びその機関は,宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」の条文から、行政機関が宗教的な行為、慣習をどの程度みとめられるのかということを考えてみることが大切。

【表現の自由】
・チャタレイ事件→表現の自由も公共の福祉によって制限されるとされた判例。表現の自由がどの程度認められるのかということが問われた事件である。
・家永教科書訴訟→文部科学省の教科書検定が憲法21条の表現の自由で禁止している検閲にあたるのではないかということで争われたが、教科書検定は教える内容の統一のためには必要なしくみなので合憲という判断がなされた。

【学問の自由】
・天皇機関説事件・・・美濃部達吉が、「天皇機関説」という学説を主張していたが、これに対する弾圧が戦前の憲法下では存在した。この反省から、日本国憲法では特に23条において「学問の自由」が規定されている。

(2)経済的自由

 経済的自由には、財産権(29条)、職業選択の自由(22条)などが挙げられる。ただし、二重の基準論によって、経済的自由と精神的自由とでは精神的自由の方が優先的に保証されることになっています。

※「二重の基準論」→経済的自由は、その目的と手段に合理性があれば、制約が許される。

※なお、精神的自由は、経済的自由よりも厳格に審査された上で制約を受けるべきかどうかが決められなければならない。

【経済的自由に関して違憲判決が出された例】
・薬事法距離制限(薬事法の半径100m以内に2軒以上の薬局を開設してはいけないという規定)
・森林法(他人と共同所有する森林は、自分の持分が50%以上でないと自由に売却できない規定)


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目次

はじめに

はじめに-高校公民(現代社会・政治経済)の勉強法
「現代社会」と「政治・経済」は重複して学習可能
センター試験「現代社会」と「倫理・政経」について
高卒認定試験の受験者の場合
現社や政経は楽しくなるし成績も無理なく伸ばせる
地歴公民の中では「理系寄り」の科目?
政治分野の基本は日本国憲法。ただし世界の政治の仕組みも
関心のある分野から知識を固め、得意を伸ばす
「歴史が得意で公民が苦手」な人も、違う視点から教科書を見れば、現代社会や政治経済の勉強にも馴染める
時事問題にも注目!教科書の中身と現実のニュースを関連付けてみよう。
政治経済や現代社会は日々変わるのに、なんで勉強する必要が?という疑問について

特集

政経現社特集:戦後日本の歴史と政治経済の変遷まとめ

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日本国憲法における三つの基本原理
日本国憲法における平和主義
平和主義と自衛隊
日本国憲法の国民主権と立憲主義
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基本的人権(2)自由権(精神の自由、経済的自由)
基本的人権(3)自由権(裁判を受ける権利、身体の自由)
基本的人権(4)社会権
基本的人権(5)参政権・請願権
基本的人権(6)新しい権利・幸福追求権
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参考サイト

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