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日本国憲法制定の歴史

 大日本帝国憲法は、1889年に制定された憲法です。伊藤博文がドイツ(プロイセン)の憲法を検討し、ベルリン大のグナイスト氏、ウィーン大のシュタイン氏に学びました。その時に学んだことが、後に大日本帝国憲法に生かされることになりました。

 この大日本帝国憲法は、主権者が天皇の「神勅主権」であり、立法権、行政権、司法権全てを「総攬」するとして天皇の権力が強いかわりに、国民は「臣民」とよばれ、「臣民」の人権は今の日本国憲法における国民の権利と比較すると制限が多いものでした。

 国民の権利は「法律の留保」という形で簡単に制約されてしまっていたため、国家の権力が強くなりすぎ、市民の民主主義を求める声が治安維持法によって制限されるなどのことも起きました。

 明治憲法時代の帝国議会は、天皇に協力し賛成するだけの協賛機関とされていたし、下記の表にもあるように、内閣は天皇の輔弼機関とされ、裁判所も天皇の名において裁判すると規定されていました。また天皇大権と呼ばれる権限も持っていました。そのため、天皇の権限が強いかわりに「臣民」の権利は制限されていたので、市民の意見は反映されない国家運営となり、国家が戦争を起こしても市民はそれに協力することを強いられました。こうしたことが後の太平洋戦争につながっていったともいわれています。その反省から、1946年には、大日本帝国憲法の改正によって日本国憲法が公布されました。

 なお、大日本帝国憲法と日本国憲法とは全然別の憲法だという誤解がありますが、実際のところ、今の日本国憲法は、大日本帝国憲法の改正によってつくられた憲法だという事に注意してください。

【大日本帝国憲法の時代の日本の国政のしくみ】

【大日本帝国憲法と日本国憲法の違い】
大日本帝国憲法 日本国憲法
自由民権運動の中で、憲法を制定すべきという声が大きく、植木枝盛の「日本国国憲案」などがつくられた。植木枝盛らの憲法草案は生かされなかったが、伊藤博文らがドイツのプロイセン憲法に学び、枢密院で審議され発布に至った。 戦争の反省から、戦前の憲法を改正してできた。幣原内閣の松本烝治大臣の案は、改正前と変わらない部分があったため、却下された経緯がある。GHQの草案が元になって作られた憲法。日本国憲法に女性の権利を明確にするよう取り組んだベアテ・シロタ・ゴードン氏は有名。
・1889年2月11日発布、欽定憲法(天皇主権)。
・天皇は万世一系。統治権を総攬する。
・人々は「臣民」と呼ばれる。基本的人権に制約有り。
・国会は天皇に対する協賛機関。
・衆議院と貴族院の二院制。衆議院のみ選挙で選ぶ。
・内閣は天皇を輔弼(助言)する。
・裁判は、天皇の名で裁判される。
・特別裁判所の設置。事案によって特別扱いされる判決もあり、不公平なしくみ。
・安全保障は、天皇が軍を統帥する。
・憲法改定は天皇が発議。
※「臣民」、「輔弼」や「協賛」の意味を覚えておこう。
・1946年11月3日公布、民定憲法(国民主権)。
・天皇は、日本国の象徴、日本国民統合の象徴。
・人々は「国民」と呼ばれ、基本的人権が保障される。
・国会は国民の代表者。国権の最高機関。
・衆議院と参議院の二院制。両方とも選挙で選ぶ。
・内閣は国会に対して責任を負う(議院内閣制)。
・裁判は、国会や内閣から独立(裁判官の独立性)。
・特別裁判所は作られず、規定の裁判所で審議される。
・平和主義(9条)。戦争放棄。軍は持たない。
・憲法改定は国会が発議、国民投票で賛否が決定=「硬性憲法」
※上記の中に3大原則が含まれる。その言葉を覚えておこう。


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目次

はじめに

はじめに-高校公民(現代社会・政治経済)の勉強法
「現代社会」と「政治・経済」は重複して学習可能
センター試験「現代社会」と「倫理・政経」について
高卒認定試験の受験者の場合
現社や政経は楽しくなるし成績も無理なく伸ばせる
地歴公民の中では「理系寄り」の科目?
政治分野の基本は日本国憲法。ただし世界の政治の仕組みも
関心のある分野から知識を固め、得意を伸ばす
「歴史が得意で公民が苦手」な人も、違う視点から教科書を見れば、現代社会や政治経済の勉強にも馴染める
時事問題にも注目!教科書の中身と現実のニュースを関連付けてみよう。
政治経済や現代社会は日々変わるのに、なんで勉強する必要が?という疑問について

特集

政経現社特集:戦後日本の歴史と政治経済の変遷まとめ

政治分野

政治の基礎、国家の分類
市民革命・社会契約説・三権分立
法の支配・自由権と社会権
現在の世界の政治制度(米国・英国)
現在の世界の政治制度(独・仏、中国)
日本国憲法制定の歴史
日本国憲法における三つの基本原理
日本国憲法における平和主義
平和主義と自衛隊
日本国憲法の国民主権と立憲主義
基本的人権(1)法の下の平等と男女平等
基本的人権(2)自由権(精神の自由、経済的自由)
基本的人権(3)自由権(裁判を受ける権利、身体の自由)
基本的人権(4)社会権
基本的人権(5)参政権・請願権
基本的人権(6)新しい権利・幸福追求権
日本の国会のしくみ
衆議院の優越、特別な議決の方法、議員特権
内閣と議院内閣制
行政の仕組みと行政改革
司法と日本の裁判のしくみ
地方自治
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需要と供給
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国民経済計算‐GNP・GDPなど
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参考サイト

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