高校公民(現代社会・政治経済)の
中間テスト・期末テスト・センター試験対策の勉強法


現在の世界の政治制度(ドイツ・フランス、中国)

【ドイツ・フランス(議院内閣制と大統領制の併用と考えられる)】

 G8などの国際会議では、ドイツは「首相」が出席し、フランスは「大統領」が出席しているので、一見するとドイツが「議院内閣制」でフランスが「大統領制」の国だと錯覚しがちだが、厳密にはこれらの国は議院内閣制と大統領制の併用と考えられています。

 また、議院内閣制と大統領制の併用といえども、フランスの場合は、大統領制に近い併用、ドイツの場合は議院内閣制に近い併用ともいえます。フランスの場合、議会から選出された首相がいるとしても、議会と大統領の連携役を果たすだけにしか過ぎないため、大統領が実質的なリーダーです。一方、ドイツは、議会の中から選ばれる首相が行政権のリーダーで、大統領は形式的な仕事をしているだけで強い権力は持っていません。

【中国(社会主義の代表的な国)】

 社会主義国では三権分立の考えは発達していませんが、形式的には権力分立の構図がみられます。例えば、中国では、日本の国会に当たる全国人民代表大会があり、各省(または自治区)、あるいは「中国軍」である人民解放軍の代表が出席しています。選挙で選ばれる議員ではなく、国の主要な組織の代表の集会と考えることができます。そして、その全国人民代表大会を構成する政党は「中国共産党」のみです。議席の獲得競争や政権交代が起こらない制度なので政権交代は起こりません。そして、その中国共産党のトップを務める総書記を中心に政治が行われています。

 そして、全国人民代表大会は国家主席を選出します。日本の内閣にあたる国務院の総理は国家主席の指名に基づき、全国人民代表大会で任命されるほか、裁判所に当たる最高人民法院の裁判官は全国人民代表大会の常務委員会に任命されます。形式的に見れば権力分立が成り立っているようにも思えますが、実質的には、全国人民代表大会そのものが一つの政党で構成され、その政党は総書記の権限が強いだけでなく、国のあらゆる組織を「指導」しています。また、その唯一の政党が、全国人民代表大会を通じて国の組織のあらゆる部分をコントロールしています。そのため、実質的には権力が一つの政党に集中しているので、権力分立の考えが弱いという特徴を持っているといえるのです。

※かつて、ロシアは「ソビエト連邦」と呼ばれ、今の中国と同じような社会主義の体制を取っていました。しかし、権力がある特定の人々に集中した結果、政治の腐敗などの問題も起こりました。そのため、ゴルバチョフ政権の時代に、ペレストロイカやグラスノスチという政治改革が行われました。ちなみに、チェルノブイリ原発事故(1986年)が起きたのもゴルバチョフ政権の時代ですが、このときも情報が迅速に公開されないことが大きく問題視され、ペレストロイカやグラスノスチがより推進される方針が固まるきっかけともなりました。

 ペレストロイカでは複数政党制の導入や自由選挙の導入が行われ、グラスノスチでは情報公開も行われました。それによって、政治の腐敗が起こりにくいように、また政治の中身が国民に見えやすいようにする意図があったのですが、しかしその政策はうまくいかない結果に終わり、ゴルバチョフ大統領は1991年に辞職し、ソビエト連邦が崩壊しました。ソビエト連邦は「独立国家共同体」という緩やかな国家連合に変化し、ソビエト連邦の中心だった地域ではロシアという国になり、今の政治体制が構築されました。


sponsored link


目次

はじめに

はじめに-高校公民(現代社会・政治経済)の勉強法
「現代社会」と「政治・経済」は重複して学習可能
センター試験「現代社会」と「倫理・政経」について
高卒認定試験の受験者の場合
現社や政経は楽しくなるし成績も無理なく伸ばせる
地歴公民の中では「理系寄り」の科目?
政治分野の基本は日本国憲法。ただし世界の政治の仕組みも
関心のある分野から知識を固め、得意を伸ばす
「歴史が得意で公民が苦手」な人も、違う視点から教科書を見れば、現代社会や政治経済の勉強にも馴染める
時事問題にも注目!教科書の中身と現実のニュースを関連付けてみよう。
政治経済や現代社会は日々変わるのに、なんで勉強する必要が?という疑問について

特集

政経現社特集:戦後日本の歴史と政治経済の変遷まとめ

政治分野

政治の基礎、国家の分類
市民革命・社会契約説・三権分立
法の支配・自由権と社会権
現在の世界の政治制度(米国・英国)
現在の世界の政治制度(独・仏、中国)
日本国憲法制定の歴史
日本国憲法における三つの基本原理
日本国憲法における平和主義
平和主義と自衛隊
日本国憲法の国民主権と立憲主義
基本的人権(1)法の下の平等と男女平等
基本的人権(2)自由権(精神の自由、経済的自由)
基本的人権(3)自由権(裁判を受ける権利、身体の自由)
基本的人権(4)社会権
基本的人権(5)参政権・請願権
基本的人権(6)新しい権利・幸福追求権
日本の国会のしくみ
衆議院の優越、特別な議決の方法、議員特権
内閣と議院内閣制
行政の仕組みと行政改革
司法と日本の裁判のしくみ
地方自治
選挙と政党
日本の政党政治の歴史
マスコミと民意
国際社会と国際法
国際連合
世界の人権保障
冷戦の歴史と核軍縮

経済分野

資本主義と社会主義と経済思想
経済思想と大きな政府・小さな政府
経済の三大主体-家計・企業・政府
需要と供給
価格決定・独占と寡占・市場の失敗
国民経済計算‐GNP・GDPなど
経済成長率・景気変動・インフレ、デフレ
金融政策
財政政策
財政と国債(日本の借金)
日本の高度成長
中小企業問題
公害・環境問題
環境・エネルギー問題、原発問題
農業・農政問題
消費者問題
労働問題
社会保障
自由貿易と保護貿易
国際収支と為替
IMF・GATT体制、地域統合、南北問題
日本の貿易自由化
EU(ヨーロッパ連合)、TPP

現代社会の分野

青年期(適応機制など)
生命倫理(バイオテクノロジーなど)
環境倫理
家族・地域社会
情報化社会の倫理
異文化理解と国際社会

参考サイト

中学生の社会科の勉強法(外部サイト)

自宅学習のために

インターネットで自宅学習
難関大学の受験対策なら Z会の通信教育

sponsored link





※当サイトの情報を参考にしたことにより何らかの損害等が発生した場合でも、当サイトでは責任は負うことができませんので、最終的な判断は閲覧者の皆様ご自身の責任でお願いします。

(c)高校公民(現代社会・政治経済)の中間テスト・期末テスト・センター試験対策の勉強法

inserted by FC2 system